さて、ではTADの仕様について見ていきます。仕様書3.2 TAD 実身構成にTADの仕様がまとめられています。実はこれは全く不充分なのですが、とりあえず進みましょう。仕様書3.2.2 実身レコード構成によれば、「BTRON仕様実身(ファイル)はレコードの列から構成され、その各レコードは、 レコードタイプに応じて、そのデータ構成が規定されている。 レコードのサブタイプは、通常レコードの検索等のために使用され、 その内容は特に規定されない。」となっています。つまり、
です。
コンソールにfsというコマンドがあります。fsは実身のレコードがどうなっているかを見るためのコマンドです。
? fs
で使い方を見ることができます。実際に使っているところを開発環境を整備するで示しています。実行結果から、testという実身の中にはレコードが三つあり、
ということを示しています。また、tpというコマンドもあり、それぞれのレコードの中身を表示できます。おお、話が早いですね。早速使ってみましょう。
tp -r1 test
などと使います。…が、部分的には読めるものの、わけが分かりませんね。
上で、 レコードはレコードタイプそれぞれに対してその中身の仕様が決められている。
と書きました。つまり、レコードタイプごとに中身の書き方というものが決まっているわけです。これを理解しないと正しく読めませんし、書けません。再び仕様書3.2.2 実身レコード構成を読むと(一部省略)、
レコードタイプ | データ構成の規定 | |
---|---|---|
0 | リンクレコード | 標準データタイプ |
1 | TAD主レコード | TADデータ構成 |
8 | 実行機能付箋レコード | TADデータ構成 |
となっています。このうち、レコードタイプ0のリンクレコードについては後で説明します。TAD主レコードとは何でしょうか。仕様書には「実身のメインデータであり、TAD データ形式である。基本エディタでの処理対象となる。」と書いてあります。つまり、文章などの我々が本当に扱いたい中身が入っているようですね。テスト用の実身に何か適当に書き込んで保存して、fs testしてみて下さい。先頭から数えて2番目のレコードの大きさが変化しているはずです。というわけでとりあえずTAD主レコードについては納得することにして、実行機能付箋レコードとは何でしょうか?tp testしたときに基本文章編集とか基本印刷という文字が見えます。これは、右クリックで出てくる実行メニューに出てくるものですね。というよりそれは逆で、レコードタイプ8の実行機能付箋レコードが実身の中にあると、実行メニューに出てくる、というわけです。
レコードについてはとりあえずここまで。今のところこれ以上の詳しい説明は必要ないでしょう。実身の中にはレコードが並んでいて、それぞれのレコードには役割があるということだけ理解すれば充分です。