実際に使っている様子です。最新の変換器は見た目を変えたのでこの画面の表示とは一致しません(使い方自体は同じです)。後ろの画像は30girlより。実身名などに使っている書体はY.OzFontです。

[全画面スクリーンショット1]

変換した後、手作業で修正している様子です。ルビが振られている文章を開くときと、振られていない文章を開くときとでは前者の方が格段に時間が掛かるように思うのですが、みなさんのところではどうでしょうか。そもそも文章が大きいときには遅くなりますから、多分全部読み込んでから表示しているのでしょう。読み込み、TAD構造解析部分と表示部分をそれぞれスレッドにし、お互いに流し込むような構造にして遅延読み込みすれば速くなると思います。ITRONのコンテキストスィッチは高速っぽいし。超漢字の画面描画やウィンドウの切り替えが遅いのは、もちろんグラフィックアクセラレータを使っていないというのもあるでしょうが、ウィンドウシステムの作りが悪いからでしょうね。前で動いているプロセスが非常に重いと殆ど何もできなくなるのはそのせいでしょう。パネルが出ると他のことが何もできなくなるのも問題です。

[全画面スクリーンショット2]

夏目漱石の虞美人草を手で修正しているとき漢文が出てきたのですが、返り点を見栄えよくするのに思案しました。とりあえず私は次のようにしておきました。

まず、返り点用のコードですが、UNICODEにあるにはあります。

[図:返り点を文字検索]
[図:一二点を文字検索]

しかし、レ点や一二点など、通常の漢字で代用できるものですし、そもそもこのUNICODEのレ点は書体が腐っています。ISO10646は知りませんが、UNICODEの策定に関わった人達は当然として、これを描いた人はとりあえず死んで欲しいですね。まあJISコードも腐っているけどね…TRONコードも…

書体が腐っているといえば、二文字以上の繰り返しのときに使われる記号(くを縦に長くしたような記号)ですが、JIS第三のものよりUNICODEにあるものの方が私にはしっくり来ます。もちろんコードの問題ではなく書体の問題なので描き直せばいいだけの話ですが、そもそもこういう「字体の美しさ」を問題にするのは世界で日本とアラビアくらいのものらしいので、それ以外の国で策定される文字についてはきちんと文句を言わないと駄目なのでしょうね。(注)字がきれいか汚いかはどの地域でも言われるとは思うのですが、習字というものが存在するのは日本とアラビアだけだそうです。アラビアはどうか分かりませんが、日本では書道という精神世界まで作ってますからねえ。私は書道準初段です。一度アメリカ人が書いた英語を見たことがありますが、あれは暗号ですね。日本人が書く英語が一番きれいだとも言われますし。

ああ、コードの問題ではないと書きましたが、コードも問題ですね。つまり、繰り返し記号とはそれ一つで記号なのであって、上半分と下半分に分かれているのは異常です。それなら「く」や「ぐ」を縦に二倍にする方がまだましです。現在の設計にした人も死んで欲しいですね。

そもそも字というのは元来が絵であって、それに対してコードという一意識別子を与えるということ自体がいかれた考えであると思うのですが。例えば篆書は「同じ字」に対して「複数の字体」が存在しますが、そういうのはどうするつもりなのでしょうか。甚だ疑問です。

[図:変換後]

最終的にはこのようにしました。

[図:変換中1]

まず、レの下に空白を二つ入れます。

[図:変換中2]

「レ  」の文字の大きさを5 (1/2)にします。

[図:変換中3]

それを縦中横にします。

[図:変換中4]

後は必要に応じてルビを振るなどします。このようにしたのは、ただ「レ」を左付きにすると本文より左に出てくれないからで、やはり少し左に飛び出て欲しかったからです。ところが、このようにすると右にも空白が飛び出てしまっているため、ルビが空白分だけ本文から少し離れます。そこで、前の行に重ならないように行間隔や段落間隔を調整する必要があります。まあ、その場しのぎの方法ですね。工程もかかりますし。

古事記上巻の冒頭の一部です。一レ点などは開いた仮身を使えばできます。面倒ですが、一度作っておけば後は仮身複製するだけなので書くより楽ですね。岩波文庫の古事記では、返り点は本文より左に飛び出てはいませんね。どうしたものか。

[図:古事記上巻の冒頭部分]

Tamakoshi Hiroki <hiroki-t@is.aist-nara.ac.jp>
Last modified: Sat Nov 16 09:05:31 JST 2002